●老「」
老人シェビー・オブラインは、窓から見えるミラウ湖を眺めながら、そっと腰掛けていた。思うように動かなくなった自分の体を少々嘆きながらも、これまでの長い人生を思い返すうち、気がつけば眠りに落ちてしまう。
●L「サイクリングの道」
※あらすじ
リード・テンケスは、清き水の湧く町・エリトンに住む、元気いっぱいの少年。
リードはその日も、朝から近所の友人たちを誘い、自転車競走をしながら、秘密基地へと向かう。途中、オーフェンの運転するキャンピングカーとすれ違うが、彼と会うのは、まだ先の話である。
●自転車を蹴って漕ぎ出すのはエンディングと一対、ただエンディングではわずかに成長した違いを差し込む カゴ付き自転車→マウンテンバイクだけ良いのでは?
●ビー玉やボールなどがカゴに入って振動のたびににぎやかな音を立てる。
●R「レイク・ソング」
※あらすじ
歌手を目指す女子高生、ラネッサ・チェンバース。
エリトンからほど近い山中のミラウ湖の中心で歌うことを、朝の日課としていた。この日も一通りの日課をこなすと、自前のボートでふたたび岸へ。そのままボートを森のなかへ隠すと、その足でスクールバスへ飛び乗った。
●O「帰郷」
※あらすじ
オーフェン・ドーサ―はキャンピングカーで放浪生活を送っている、三十二歳の男である。記者・小説家、ふたつの顔を持つ彼の生まれはエリトン。
彼は、故郷にひとり残していた父親の訃報を聞き、約数年ぶりに、帰郷していた。家へ到着して、葬儀に集まった親戚らとの挨拶のほどほどに、彼は久々の故郷の散策をはじめた。
●L「ひみつきち」
※あらすじ
ミラウ湖近くの森のなか。そこにリードたちの”ひみつきち”がある。それぞれが自分の好きなものを持ち寄ってできた、特別な場所である。
秘密基地のなかの紹介もほどほどに、まもなくメンバーが集まる。リードたちは何をして遊ぶのか話し合い、まもなく秘密基地をあとにする。
森の中でのかくれんぼの最中、友人のひとりのサミーが突然地面に空いた穴に落ちてしまう。サミーの叫び声を聞いて一同は集まる。
サミーを引き上げると、それがなにかの入り口であることに気がつく。リードたちは少し怖がりながらも、その遺跡のような穴ぐらのなかへ入っていった。
まもなく奥の部屋にたどり着くと、石で造られた、苔むした祠のようなものがあった。だれもこわがって近づきたがらなかったが、純粋で物怖じしない性格のケイミーがその祠にふれた。ふれた瞬間、一瞬ケイミーのからだが一瞬ビクっとしたように見えたが、いつものあどけない笑みを見せてケイミーは振り向いた。
けっきょく、穴のなかは何もなく、すっかり興味をなくしたリードたちは祠をあとにする。
●54サミー→眉毛が濃いという特徴を挙げる
●43ベリカ→身長が高いことをあげる
●87ジックス→熱くなりやすい
●89ケイミー→度胸があり、天真爛漫
●19→いつも回りを見てる、医者の息子、頭もいい
●R「ラズベリー・フィーリング」
※あらすじ
雑然としたスクールバスのなかで、”彼女”だけは、周囲とは違う異彩を放っていた。
彼女の名は、ラネッサ・チェンバース。そんな彼女を見つめているのは、彼女の幼馴染・ケビン。
彼はラネッサに好意を寄せていた。しかしその思いを伝えることもできないまま、卒業が目の前に迫っていた。
バスを降りた時、ケビンはラネッサに勇気をもって話しかける。
いっぽう、ラネッサもケビンへ好意を抱いていたが、自分の抱える夢と恋とのあいだで、関係を進展させることを恐れていた。
お互いに控えめなふたりの関係性は、言葉では言い表せない複雑なものだった。ケビンは意を決して、ラネッサを遊びに誘うが、ラネッサは自分の歌作りのことで頭がいっぱいで軽くそれを断ってしまう。
だがそれからまもなく、クラスのイケている集団に、クラブパーティに誘われる。ケビンの誘いを断った手前、誘いを受けるのはためらわれたが、クラス内で脅かされずに過ごすには、彼らとの繋がりを断ち切るわけにはいかないということで、ラネッサは誘いを承諾する。そのやりとりを、たまたま通りがかったケビンは耳にするが、あくまで彼女を問い詰めたりはしなかった。
●O「土産と再会」
※あらすじ
オーフェンは少し見ないあいだにすっかり変わってしまったエリトンの町を歩いていた。狭かった覚えのある路は広い道路に修繕され、空き地だったはずの場所に大きな建物が立っていたかと思えば、逆に空き地になった場所もあったりした。諸行無常な変化にどこか寂しさを感じながらも、オーフェンはエリトンの有名な湧水群の水で水分補給しながら散策を続ける。新築の工事音に誘われるように歩いているうち、現場監督のひとりと目が合い、それがかつての同級生であったことに互いが気づき、再会を喜びあった。
次に、ミラウ湖畔にある土産屋を訪れる。その店頭には、かつての幼馴染である女性・ミーヤが立っていた。ふたりは再会を喜び、思い出話に華を咲かせる。
まもなく、その場をあとにしようとしたオーフェンに、ミーヤが土産のストラップを手渡した。それはかつて、少年オーフェンが万引きしようとした伝統のストラップだった。都市部の生活に慣れていたオーフェンは現金を持っていなかったため、ストラップの礼に、帰り際に買い物していくと約束する。
オーフェンはかつて自分たちが使っていたひみつきちを、ミーヤの娘たちが使っているということを聞いていたので、次は秘密基地へ行ってみようと思い立った。
●清水の味の描写なども入れておきたい
●L「夕暮れの帰り」
リードたちは野球をして遊んでいたが、打上げたボールがどこかへ行ってしまい、とうとう見つからなかった。野球は中断となり、気がつけば日が暮れていることに気がつく。時計を見れば、帰りの時間がせまっていたので解散となった。リードはそのなかでケイミーの様子がどこかおかしいことが引っかかったが、暗くなって怖い思いをしないうちに帰らなければと思い、リードはそのまま帰路についた。
帰り道、ミラウ湖で有名な白い砂浜「白浜」で、湖に独り、石を投げつづける人影を発見する。近づくにつれ、リードはそれがラネッサであることに気がつくと、近づいていった。ラネッサとリードは、数年前に互いにミラウ湖にいたときに出会ったという知り合いだった。年の離れた友人同士ではあったが、どこか気を使わずに話せる不思議な関係性であった。そしてリードはどこか親しみがありながらも、いたずら好きで、謎めいていて、そして美しい彼女に好意を寄せていた。
●R「トワイライト・ブルー」
やってきたリードには、うまく笑顔を作って体裁を取り繕うラネッサだったが、その心境はけして晴れやかなものではなかった。歌の練習という理由でケビンの誘いを断りながら、結局のところ自分は、これから楽しくも無い、無為なクラブパーティに赴かなければならなかったからだ。気分は最悪だった。それでも、無邪気なリードと話をしているうちにいくらか心が晴れ、同時にまだ少年で純粋な彼を、すこし羨ましく思うのだった。ラネッサはリードと別れ、クラブパーティへと向かった。途中、湖の桟橋に立っている黒革ジャケットの男を見かけ、どこか景色に映えていたので、カメラで一枚、パシャリと撮影した。
●O「秘密基地潜入」
夕暮れ。秘密基地へたどり着いたオーフェンは、秘密基地のなかに、かつての自分たちの痕跡を見つけ懐かしむ。そこに忘れ物を取りに来たサミーが登場して鉢合わせする。オーフェンは話しかけようとしたが、サミーはコワモテのオーフェンを見ると、すぐさま尻尾をまいて逃げていった。自分の悪人相を、秘密基地に設置された鏡で確認したオーフェンは、すっかり老け込んで、そしておっかない見た目になってしまったその姿に嘲笑のこもる溜め息を吐いた。
●L「みずうみのでんせつ」
帰宅したリードは、祖母とともに夕食をとる。祖母はミラウ湖に言い伝えられている伝説をリードに話そうとするが、リードはもうすっかり聞き飽きているため、まともに取り合おうとはしなかった。
今日は休日だったが、明日は学校がある。まもなく夜も更けてきたため、リードは寝床に入り、まもなく眠りに落ちた。
●R「トワイライト・ヘル」
パーティーへ向かったラネッサだったが、彼女に好意を寄せているグループのひとり、フランクから言い寄られる。ラネッサは激しく拒否するが、フランクが強引にキスしようとしてきたため、平手打ちをしてその場をあとにした。
傷心のなか、家に帰るのにも億劫になったラネッサは、ケビンの家へ向かった。屋根伝いに2階のケビンの自室へとはい上がり、バルコニーから侵入すると、ケビンは快く迎え入れてくれた。ケビンはラネッサの異変をなんとなく察すると、さりげなく彼女を励ました。まもなくふたりは幼いころの話をしながら笑いあった。結局ラネッサは家には帰らず、泊まることにした。
●O「酒夜」
オーフェンは夕食を食べられる場所を探しているうち、見覚えのない、新設されたであろう、ネオンライト光るBARを発見する。
入店すると、そこでかつての友人マリサと再会(ブロンドにピンとくる)。彼女は雇われママとしてここを切り盛りしているということを知った。さらに彼女がバツイチということ、息子がいるということも明らかになり、昔話に華が咲いた。すると常連だというかつての友人たちも次々合流して、オーフェンにとってはこの上なく楽しい夜となるはずだったが、かつて想いを寄せていたセリーンという同級生が死んだという報告を受けたことで、なんとも後味の悪い夜になった。
●L「こわい夢」
眠りに落ちていたリードだったが、悪夢にうなされる。ケイミーがミラウ湖で溺れて、沈んでいくという夢だった。目覚めたリードはどこか胸騒ぎを感じながら、学校へと向かった。登校するとすぐに先生に呼び出される。別の部屋に通されたリードは、そこで待っていた警察の人らと面会する。
そこでリードはケイミーが昨日の夜から行方不明になっていることを知らされた。リードはいろいろなことを聞かれたが、自分の夢のことは怖くて話せなかった。
警察の事情聴取が終わると、リードはいつもの授業後、ケイミー以外のメンバーらと話し合いをする。すると、どうやら他のメンバーも皆、ケイミーについて警察の事情聴取を受けたことを知る。
リードは、自分たちでもケイミーたちを探そうと提案するが、ベリカたちが乗り気で無かったり、さらに学校側もケイミーの失踪を受け、誘拐などの可能性を視野に入れた上、放課後の行動・通学方法などに厳粛な特別措置を設ける。
それによりリードたちは放課後の自由な時間を奪われることとなり、ケイミー探しはできなくなった。リードは迎えに来た母・マリサにケイミーを探す重要性を説くが聞き入れてはもらえなかった。
いっぽう、リードたちの証言を受けて、警察らはその祠を探そうとしたが、それらしきものはいっさい見つからなかった。
●R「イエローシグナル」
ラネッサが学校に行くと、フランクと鉢合わせするが、フランクはバツの悪そうに目を逸した。そんな気まずい中で過ごしているうち、友人のひとりからある女の子が失踪したという噂を耳にするが、ラネッサにとってはおよそ関心の薄いことだった。ラネッサは、今抱えている夢などの事でそれどころでは無かったのだ。
そして、学校の入口前に貼られている、ひとりの女性シンガーのポスターを視て、ラネッサは嫉妬心を抱く。そしてその人物との回想に浸った。
ラネッサが嫉妬心を抱く、「ニンシア」というその女性シンガーは、このエリトン出身の人物である。本名・エリーシャ・アイノン。かつてラネッサの近所に住んでいた、年上の女性だった。そのため彼女とは幼い頃よりよく遊んでいた仲で、よく面倒を見てもらっていた。そしてラネッサが音楽を始めたのも、ニンシアがギターを買って始めたことに影響を受けたからである。だが彼女は数年前、ある音楽レーベルから声を掛けられ、まもなくメジャーデビューを果たした。別世界でキラキラと光り輝く彼女を見たラネッサはその姿に憧憬を抱き、以降彼女の背中を追い続けているといった経緯があった。
ラネッサは回想から意識を戻すが、そこで感じたのは、彼女とのあいだに開けた、埋まりようの無い差だけだった。そう考えると、自分のこれまでの取り組みは神聖なものなのではなく、徒労と愚かさに満ちたものだとしか思えなくなり、急な虚脱感を感じた。
そこにケビンが現れる。すっかり歌への情熱を失ってしまったラネッサは、ケビンの放課後の予定に付き添うことにした。
●O「喪失」
オーフェンはキャンピングカーのなか、ラッキーに顔を舐められながら目覚めた。二日酔いで頭がガンガンするなか、セリーンが死んでしまったということを思い出し、再び憂鬱な気分になる。ドアを開けてラッキーを外に解放してやると、ラッキーがリードたちが昨日紛失したであろう野球ボールを咥えて帰ってきた。どうやらボールで遊びたいようだったが、オーフェンはそんな気分では無かったので無視する。なんとか運転席に付くと、バックミラーに掛けていた、ミーヤからもらったキーホルダーが目に入る。そこで土産の約束のことを思い出す。オーフェンはそのまま現金の工面をしたうえで、土産屋へと向かった。
しかし土産屋に到着すると、なにやらパトカーやらが停まっており、異様な雰囲気が漂っていた。店のなかにいたミーヤに近づくと、涙を湛えたミーヤに抱きつかれる。事情を聞くに、どうやら昨日、娘が失踪してしまったということを知る。
そこに、リグ・チェンバースという担当刑事がやってきて、いきなりやってきたオーフェンに事情聴取をはじめる。オーフェンは不服そうにその質問を受けていると、キャンピングカーのなかにいたラッキーもチェンバースに向かって吠えたりする。
まもなく大した情報が得られないと思ったチェンバースが去り、ミーヤとふたりになったオーフェンは彼女に、警察には頼らず、自分が探すと宣言した。
さっそく捜索に取り掛かろうとしたオーフェンだったが、電話がかかってくる。それは父親が生涯勤め続けていた工房からだった。どうやら工房に置いて行った父親の遺品を回収しにきて欲しいという報せだった。煩わしいとは思ったがそれほど遠いわけでもなかったため、オーフェンはひとまず父親の工房へ向かうことにした。
●L「ケイミーはどこ?」
ケイミーのことを諦めきれないリードたちは、夜に抜け出すことで、毎日少しずつ、心当たりのある場所をしらみつぶしに探していったが、そこにケイミーの足あとを見つけることはできなかった。
●R「フローイング・ハート」
ケビンは、エリトンの伝統工芸品であるエリトン・オルゴールというものの製作に、アルバイト半分・趣味半分という形でいそしんでいた。ラネッサは彼が通う工房へと向かい、その兄弟子らしき人への挨拶もほどほどに、その作業の観察に徹した。工房は木材など自然由来のもので造られており、常にオルゴールが流れている不思議な空間だった。和やかな雰囲気ではあるのだが、ラネッサには少々刺激に欠ける、退屈な空間に思えた。
まもなく、その工房で一番の職人だったと言われた職人が先日亡くなったという事をラネッサは耳にするが、その情報はすぐに通り過ぎていく。ラネッサはケビンが情熱を傾けて作業している様子を見て羨ましいと思った。ラネッサにとって見れば、廃れつつある町の伝統工芸品になど、情熱を傾ける価値など無いと思っているが、ケビンの表情からはそういった俗物的な冷たさは感じず、心の底からそれに没頭している様子が、自分には無いことに気づいてしまったからだった。
そんな落胆するラネッサをよそに、工房に一人の男が訪ねてくる。黒革ジャケットを着た大柄な男だった。ラネッサとオーフェンは一瞬目が合い、お互いどこかで見たような既視感を覚えるが、どちらも結論にはたどり着くことはできなかった。対応した兄弟子と彼の会話に聞き耳を立てていたラネッサは、オーフェンが、最近ここの工房を取り仕切っていた職人の息子であることを知ったが、特に意味のない情報であった。
●O「調査開始」
オーフェンはケイミーを探すためにエリトンの町の人間に話を聞いたり、目撃証言を探した。途中、リードたちの友人のひとり、ベリカなどにも話を聞くが怪しまれるだけで、結局、これといった手がかりはつかめないまま、湖畔に停めていたキャンピングカーに戻った。
●L「あやしいおとこ」
いっぽう、リードたちはケイミーをさらった、あやしいおとこに目星を付けていた。それはまさにオーフェンだった。ケイミーが失踪した日、サミーが秘密基地でうろつくオーフェンを目撃したこと、先日町で、サミーが会った特徴と同じ男にベリカが話しかけられたこと、極め付きはジックスがその男が湖近くでキャンプを張っていることを見かけたという点から、リードたちは、オーフェン襲撃の作戦を立てはじめる。プラスチックバットや自分たちで凶器になりそうなものを携えて、オーフェンを襲撃しようとするが、主人の危険に気づいたラッキーの威嚇によって、リードたちはすぐに逃げて散り散りとなった。襲われそうになったオーフェンは、なぜ子どもたちが襲撃してきたのかも分からず、首をかしげた。だがコンロで作っていた食べ物が襲撃によって地面に落ちていることに気づくと、悪態をつき、仕方なくラッキーにくれてやった。
●R「ベリカが目撃」
父親からの着信通知も無視して、ラネッサは夜の湖畔を歩いていた。もう一晩ケビンの家に泊ろうと思ったが、迷惑をかけるわけにもいかず、かといって嫌いな父親のいる家に帰るのも嫌だったので、行くあてもなく夜をさまよっていた。だがそこで、湖畔に打上げられた奇妙な影を発見する。ラネッサは携帯の電気で照らしながら、それにおそるおそる近づくと、それは少女が履くぐらいサイズのピンクの靴だった。そこでラネッサは先日聞いた少女失踪の噂がフラッシュバックした。その時、前方から「おい」という男の声がした。咄嗟にライトを向けると、それはオーフェンだった。オーフェンはケイミー探しのために湖をさまよっていたのだ。だがそんな事情もしらぬラネッサは、いきなり目の前に現れたオーフェンに慄き、靴を投げ捨ててその場から逃げ出した。男が追ってくることは無かった。
だがそこで、こっそりケイミーらを夜中こっそり抜け出して探しているリードたちに出くわす。そこでラネッサは、ケイミーのものらしき靴を見つけたことと、怪しい男がいたという事を話した。
●O「」
夜中の捜索活動で疲れ切っていたオーフェンがキャンピングカーで眠っていると、そこに警察らが押しかけてきて、オーフェンは自分にケイミーの誘拐事件の容疑者としての疑いが掛かっていることを聞き、さらにキャンピングカーのなかにケイミーの靴があったことで、オーフェンは連行されてしまう。
しばらく悶々とした時間を留置所・取調室で過ごすが、マリサらがアリバイを語ってくれたおかげで、なんとか釈放される。
だがケイミーの靴が湖畔で見つかったということから、ボート隊での大規模な湖内捜索などが行われるようになり、エリトンおよびミラウ湖に、さわがしく、不吉な空気が立ち込めるようになっていった。
●「シーウルフ」
いっぽう、学校に到着したラネッサは、フランクによって自分の拙い歌声が、クラス中に広報されてしまったことを知る。その場にいることが耐えきれなくなったラネッサは、学校を飛び出した。
だが町のなかをフラフラしていると、車が自分の横に停まった。それは叔父であり、警官でもあるリグ・チェンバースだった。彼は学校をサボったラネッサを軽く叱りながらも、ひとまず家へと送ってもらった。帰り際、自分が父親と話そうか?と言われたがラネッサは断り、久々に家であるアパートに戻った。
家の中は散らかっており、アルコールの臭いが充満していた。リビングにはうなだれた父親がおり、ラネッサを一瞥するが、すぐに視線を外した。それはまるで存在を無視するかのような目つきだった。
彼、ネシア・チェンバースは、かつては良夫・良父な男であったが、最愛の妻の死をきっかけに、精神的に不安定な状態にあった。かつて勤めていた仕事は辞め、現在はさまざまな仕事を転々としている状態である。ラネッサは話しかけようと思ったがとてもそういう雰囲気でも無かったため、結局すぐに家を出ることにした。
すると、学校を去ったラネッサを心配して家に向かってきていたケビンとバッタリ会う。そして彼に誘われて、かつてのようなギターセッションをした。すると久しくラネッサの歌声を聞いていなかったケビンは、ラネッサの声が昔と違っていることを指摘して、前の自然なハスキーな声のほうが良かったと感想を述べる。ラネッサはそこで、自分がいつしか、憧れのエリーシャの歌声に自分が寄せていたことに気付かされた。
そこで彼女は試しに、自分のコンプレックスであったハスキーな声をそのままに、今の心情を歌と歌詞にして歌い始めた。それはケビンに想像以上の感動をもたらし、ラネッサもまた手応えを感じた。感激した彼女はケビンに抱きついて感謝を述べるや、湧き上がるインスピレーションをこぼすまいと言わんばかりに、一目散に湖へと向かった。
しかし森に隠していた船が消えていた(誰かに盗まれた?)ため、仕方なく白浜で歌の製作をはじめた。そこへリードがやってきて、しぶしぶ初めての歌声を聞かせる。歌い終わるとどこからともなく拍手が聞こえてくる。それはオーフェンだった。オーフェンをまだ良く思っていない二人はオーフェンを怪しむが、ラッキーが寄ってきてオーフェンに懐くような素振りを見せたので少し警戒を解き、オーフェンの話を聞き、極めつけにオーフェンがすばらしい水切りを見せてやると、二人はすっかり信用しきった。
●LRO「水切りとキャンプ」
世代の異なる奇妙な三人は、日が暮れるまで水切りを続けた。そして二人は、オーフェンのキャンピングカーで夕食を食べることになる。リードの親御が心配しそうだったので、先日連絡先を交換していたマリサが、実はリードの母だったという事を聞いていたため、オーフェンはマリサに断りの電話を入れ、リードに夕食をごちそうして、帰りは家まで送ることを連絡した。
ラネッサも未成年だったので一応大丈夫なのかとオーフェンが尋ねたが、ラネッサは適当に平気と言って、その場にいることにした。
いっぽう、キャンピングカーのなかを漁っていたラネッサは、自分の好きな本や音楽などを持っていたオーフェンにどこか親近感が湧いた。いっぽうのリードも、ラッキーがくわえていたボールがいつぞやの紛失したボールであったことに気づいて喜んだ。
三人はバーベキューで夕食を済ませ、まもなく解散した。
●L「」
オーフェンと過ごした翌日、彼が怪しい人物では無かったということをリードは仲間たちに告げる。そして、放課後みんなでオーフェンのもとへ行こうと誘うが、そのなかにフがいないことに気づき、そして彼が昨日から行方不明になっていることを知った。仲間を失ったリードとジックスはぎくしゃくし、最後にはケンカして別れてしまう。結局その日は、言い出しっぺの二人がムクれてしまったので、仲良しメンバーは集まらずにその日は家に帰った。
●R「」
●O「図書館と郷土学者」
オーフェンはまもなくエリトンの図書館へと到着した。幼少の頃の記憶と変わらぬ、西洋城の風体を呈したそのたたずまいに、どこかノスタルジーを感じながらも、オーフェンは中へと入った。幼少期の頃に比べれば細かいところに変化は見られたものの、その大部分は昔のままであり、屋内にただよう懐かしい香りが、オーフェンに古びた記憶をさらに思い起こさせた。
オーフェンは郷土資料を手当たりしだいに漁っていく。
ミラウ湖に伝わる、竜と美女の悲しい恋物語なども久々に読み、どんな物語だったのかを思い出す。身分・種族という壁によって恋心を増長されるという手段は「ロミオとジュリエット」を始めとしたあらゆる名文学と共通しているーーなど、郷土資料を読みすすめながら新たに気付かされる事も多々あった。
だがそうして読み進めているうちに、ひとりの名前が資料の端々にちらついた。
その男の名前は、シェビー・オブライン。このエリトン周辺について研究している郷土学者だった。ある資料に住所も記載されていたので、オーフェンは彼に聞けば、このもはや科学や既存の知識では説明できないこの状況を打破できる情報が見つかるかもしれないと、彼のもとへ向かった。
彼は予想していたとおりの、顎に白い髭を蓄えて杖を付いた老爺だった。彼に現在起こっていることについて問うが、シェビーはあくまで抽象的な答えしか返して来ない。
そしてシェビーは達観した態度で、オーフェンがミラウに戻ってきたのは偶然ではないと良い、まもなくなぜ戻ってきたのか、その理由が分かるーーと意味深な言葉を帰り際に残した。
●R「リリィ・ホワイト」
目の前に見覚えのあるキャンピングカーが飛び出してきた。ドアを開けた
●O「突撃」
ラネッサを乗せたオーフェンは強行突破を試みた。
そこでリードたちを乗せる。どさくさに紛れてサミーがラッキースケベをラネッサから受けたりする。
●数十年前から水力開発が行われていることなどが挙げられてる。
●L「ふしぎなせかい」
●R「」
父親の姿を見て、ラネッサは気づけば自分が涙を流していることに気づいた。自分が深い悲しみのなかに自らの才能の種があることに気づき始める。
●O「悔念」
その空間はまさに、これまでエリトンで生き、そして死んでいった人々の記憶の世界だった。
さまようなかで、かつての想い人
さらにオーフェンは父親を見つける。そしてほぼ初めて、親子水入らずの話をした。
●「アンサーズ」
ラネッサは女神イヴェーサに励ましをもらい、自らの人生は自分の夢に捧げることを誓うと、異空間から抜け出すため、
●「赦し」
●LRO「ぼくらの決意」
クライマックス2
落ちそうになったリードをラネッサが掴む。しかし十歳児の体重はラネッサの想定をはるかに超える重さであり、さらに手も濡れていたということもあってどんどんと握る手の力が緩んでいく。もうダメかーーそう思ったタイミングで大きな力がふたりをぐいと引き上げた。オーフェンだった。三人はキレイに重なり合って、互いの無事を喜び合い、崩壊しつつあるから何とか三人で脱出を試みようとするが、大量の水が押し寄せて三人は飲み込まれてしまう。溺れてしまうのかーー。
だがそこへ、龍の形をした水流が、リードとオーフェンを地上へと引き上げた。続くようにラネッサもまた、女神の形をした水流によって引き上げられていた。三人はそれぞれ水流に乗せられ、地上へと出る。すると横から騒がしい声が聞こえ、横を見てみるとケイミーら仲良しメンバーもまた、竜の水流によって引き上げられ、こちらに手を降っていた。そして一同は雲を越えて上空まで引き上げられ、なかには高所恐怖症で怖がる者もいたが、最後にはそのほとんどがその非現実な現象を楽しんだ。
そしてオーフェンは思い出す。かつて少年時代に、同じ体験をしたことを。どうして忘れていたのか不思議だったが、思い出したことでどこか満ちたりた気分になった。
●LRO「ミュージック・アワー」
上空遊泳を終えた一同は白浜へと水流によって下ろされる。
竜と女神の形をした水は一行を下ろすと、やがてゆっくりと水のなかに戻っていった。
そこには父親と、ケビンらの姿があった。
ラネッサは父親と和解した。
●「原点の地」
春になればふきのとうが目を出す。
季節のうつろいを如実に感じることのできるよう、完璧と言えるほど精緻された庭。オーフェンは自らの感性にぴったしとハマっているその情景に、亡き父親と自分の感性がどれだけ似ていたのかーーということに気付かされた。
●「帰ってきた!」
リードが目を覚ますと、目に入ったのは病院の天井だった。傍らにいたマリサは息子が目を覚ましたことに感激するが、リードにすぐにケイミーの事を聞かれて無事と答える。リードは胸をなでおろした。
まもなくリードは退院となり、学校へ向かった。そこには欠けたケイミーが戻り、いつもの完成されたメンバーがおり、リードはその輪のなかに入ると、全員で輪を作って、周囲の目も気にすることなくグルグルと回りよろこんだ。
●「グッド・バイ」
皮肉にも彼女が離れてしまう原因を作ってしまったケビン。
だが自分の独占欲を優先して彼女をこの町に縛り付けることが彼女の幸せにならないと言うのならば、それは彼女に対する愛ではないなどと気持ちを整理しながら、待ち合わせ場所で彼女を待った。
ケビンの待ち合わせの場所へ向かっていたラネッサ。横に、やかましいエンジン音をたてながら、見覚えのあるキャンピングカーが停車する。オーフェンだった。ラネッサが出ていくのか?と尋ねるとオーフェンはしばらくエリトンに身を落ちるけると語った。そこでラネッサはふと、オーフェンと出会う前に撮った、オーフェンが桟橋に立つ写真を渡した。まもなくふたりは挨拶を交わして輪kれた。ラネッサとオーフェンは同じ方向とはいえど、別々の場所を目指し始めるのだ。
去る者と、戻る者ーーその運命が誰にも知られることなく、静かに交錯した。
ケビン
彼女にしか見えない世界があるーーケビンはそれをと尊く思っている。
飛び立とうとする彼女に
●ケビンとの待ち合わせ場所に一回性を 幼い頃の思いでの場所?
●「贈り物」
インスピレーションを求め、ある都市へと向かおうとしていたオーフェンだったが、とある店先に、程度の良さそうなマウンテンバイクを視る。そしてそれを購入するやキャンピングカーに乗せ、その足で宅急便へと向かう。
リードの家の住所は分からなかったので、先日行ったマリサの店を住所に設定してマウンテンバイクをリードに贈った。
そしてふたたびラッキーとともにキャンピングカーに乗る。そして新たな取材の地を目指して出立した。
●L「自転車とくちびる」
夕方、いつものようにリードが家に帰宅すると、玄関に新品のマウンテンバイクが立掛けられていた。その差出人がオーフェンと分かったので、さっそくお礼に向かおうとした。しかしオーフェンの家を訪れると誰もいないようだった。リードは少し残念に思いながら、マウンテンバイクを押して歩いていると、バス停に見覚えのある姿があった。ラネッサだった。
リードはラネッサに話しかけにいくが、彼女がこの町から出ていくということを知りガクリとする。すると彼女は、いままで使っていた音楽再生機をリードにプレゼントして、イヤホンでなかに入っている曲をリードに聴かせているうち、ふいにリードの額にキスを残すと、そのままバスに飛び乗ってしまった。
リードは別れたくなくて必至にマウンテンバイクでバスを追いかけるが、途中イヤホンが自転車に絡まってしまい、マウンテンバイクは停止して、バスは遠ざかっていた。気づくと目に涙を浮かんでいたことに気づいたリードは、そっと雫を袖で拭うと、向きを変えてエリトンのほうへ向かって、ペダルを漕ぎ始めた。
まもなく訪れるであろう青春の香りが、リードの鼻孔に、そっと吹き込むのだった。
●R「ソング・ソング・ソング」
リードと別れたあと、しばらくバスに揺られるラネッサ。まもなく彼女は、キフテム駅のバスターミナルに到着した。思いの外早く着いてしまったため、重いギターを抱えて肩の疲れたラネッサは、まもなく駅の花壇あたりに腰を下ろした。すると通りがかった男が話し掛けてきた。その男は「TelXu」と名乗る金髪の黒人。
彼は自分がスマートフォン片手に世界を旅している冒険配信者だと語り、時間があるならぜひ歌ってほしいと言ってきた。彼の宣伝にもなるからという言葉も受け、彼女はおそらく彼女ははじめて多くの人の目の前で歌唱を始めた。
彼女は歌いながら、自分の前に広がっている新世界に胸を膨らませた。
●O「新境地を目指して」
オーフェンは走行するキャンピングカーの窓を開け、吹き込んでくる風を浴びながら微かな笑みを浮かべた。
●老「」
イスに腰掛けているうちに眠っていたシェビーは、家のドアをノックする音で目を覚ました。
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2022年1月30日 /